2.8 自己陶冶
今項では誦句「自己陶冶」のテープを聞いて心に残ったことをお伝えさせて
いただきます。
それでは、はじまり、はじまり。
自己陶冶《とうや》の誦句(緑の誦句集より)
そもそも人格の完成は 人類当然の責務にして、
ただ一《いち》途《ず》自己を陶冶することによってのみ
その目的を達成す。 しかも自己陶冶の力は 他面にのみ
存在するものにあらず、まことや昭《しよう》として自己
の生命に内在す。
さればわれ人ともに より良き優れし人生に活きんには、
先ずこの尊厳なる生命内在の力を発現せしむるに如《し》
かず。
而してこの力こそは、自己の心境を正しく 怠らず清く
払《ふつ》式《しき》することによってのみ その全能を
発揮す。
先哲既に叫んでいわずや。「新しき計画の成就はただ
不屈不撓《とう》の一心にあり」と。かるが故に心に心し
て常に心に、気《け》高き理想と高級なる想像とを 強烈
に抱かしめよ。
そはとりもなおさず 心境払式に対する唯《ただ》一つ
の手段なればなり。
さらばひたむきにただ想え、気高く 強く一筋に。
よしや かりに人生行路の中途 滔《とう》々たる運命
の濁流になげこまるるとも、また不幸病魔の檎《とりこ》
となることありとも、夢にも悶ゆる勿れ 怖るる勿れ。
宇宙の昭々たる摂理は、万《ばん》象《しよう》を恒
《つね》に流《る》転《てん》す。 されば今日の禍《わ
ざわ》いも、やがてはまた明日の幸いを瑞《ずい》祥《し
よう》するの兆《きざし》たらん。
さなきだにただ一心に心の力を信念精《しよう》進《じ
ん》せば、わが霊に宿る巨神は その偉力を振い 天の摂
理に順応し、自己心中の悪魔も 妖《よう》怪《かい》も、
否一切の汚《けが》れしものをその膝下に跪《ひざまず》
かせ、われらを正《しよう》念の彼《ひ》岸《がん》に導
かん。
かくして人生を虐《しい》たげ人生を悩ます人間世界の
煩悶と苦《く》患《げん》は、立ちどころに消滅離散し、
われらの世界はここに一新され、燐として輝き 溌剌と
して生気躍動する尊貴至上の人生顕《けん》現《げん》せ
ん。
「安心立命」を心の底から味わってで生きる方法は一言で済む。
「らしく生きなされ」
「人間は人間らしく生きればよい」
うわべだけは万物の霊長としての人間の姿をし、紳士、淑女の仮面をかぶっ
りながら、こころの中はタヌキにもキツネにも劣るような心持ちを持ってはい
ませんか?ということを自分で考えてみる。
そういうことに気が付いてゆくことが最初。
今私が考えていること、思っていること。
今までは、人のことではない、自分のことだから、こう考えるのが「当たり
前だ」と思っていたが。
その「当たり前だ」と思っていたことが、「本当の人間」の思う事ではない
かな?あるかな?ということを身贔屓(びいき)をしないで、公正な第3者の
位置に立ったつもりでこれを観察してみる。
それが、本当の「内省検討」というもの。
それをやらないばかりに、もっと幸せに、恵まれた人生を送れるものをつま
らないものにしている人が多い。
結局そういうのが積もり積もってきて、体が弱くなったり運命が悪くなった
りする。
心がどんどん、弱くなる。
生命の全体を力強くするための「カギ」は心だということは何回も聞かされ
ている。
それでは、どうすれば、本能の心を整理して、完全な自己陶冶という目的を
達し得るか。
今までの学者や識者もその必要は認めていた。しかし、理性の心で本能の心
をコントロールしようとした。
だから、うまく行かない。
2000年前に孔子が言った「学んでいよいよ苦しみ、極めていよいよ迷う」
と。
良い、悪いが分かれば分かるほど苦しい。
例えば、夜眠れないことを取り上げても、寝ないことが体に良くないという
ことを知らなければ、なんてことない。
でもなまじ、寝ないと身体に良くないと知ったら、知らないときに比べ、数倍
体に負担を感じる。
医者が、病になったら弱いのは、なまじ知っているからなんだ。
自己陶冶のためには次のことを行うこと。
観念要素の更改
積極観念の養成
神経反射の調節
それに加えて、言葉に注意する。
不得手なことをいうとき、「xxが弱いて」て平気でいうけど、そういうと
きでも、「xxが強くない」という。
同時に態度に気を付ける。
うそでもいいから、「私は真理に目覚めている人間だ」というプライドを心
からなくさないようにする。
変なときに謙遜しない。
「真理に順応して生きようと思ったら、それはもう真理に沿って生きている
ということなんだ」
模倣も真に迫れば、もう真実と同化する。
私は積極的な人間だ。みじめな、つまらないことに心を怒らせたり、泣かせ
たり、恐れさせたりするような価値のない心を持っている人間ではない。
私は優れた人間だ。昔より私は成長したんだ。
こういうふうなプライドを心に持たせたらどうだ。
今この瞬間から、ぐーんと真理そのもので生きているようなプライドを心に
持たせろ!
ああ、あれが天風先生の弟子かい、さすがだなといわれるような人間になっ
たらどうだ!
態度が人生を支配する。
自分自身の言葉や態度で、自分自身が暗示の同化を受ける。
人間は嬉しいと喜ぶ、よろこぶと余計嬉しくなる。反対に悲しめば泣く。
泣くと余計悲しくなるだろ。
おかしくもなんともないとき、うそでもいいから笑ってごらん。
鏡がなくてもいいけど、鏡を見て、笑ってごらん。きっとおかしくなるから。
子供が泣いているときに、どうしたのと聞くと余計泣くだろ。
だから喜びや楽しみは大袈裟におやり。これはぜひやってほしい。
それからもう一つ必要なことは、低級な欲求や劣等感情が出てきたなあと思
ったら、つぶやきの自己暗示をする。観念で独り言をいう「こんなことに腹が
たつか。こんなこと悲しくない。私はそれ以上に優れた心の持ち主だ」と自分
自身につぶやく。ささやきの自己暗示法。これが効き目がある。
こううした、普通の人が気が付かないこと。気が付いていても大して重大だ
と思わない事柄の中に非常な重大な結果を生みだすものがあるのだということ
に今日気が付いただろう。
この心がけを実行に移して行くように、油断なく、注意していると、今まで
のようにその場、その場の刹那の出来心で自分の尊い人生を価値なくしていた
というような滑稽(こっけい)なしくじりがなくなる。
ときどきありはしないか。あのとき、ああ言わなければよかったとか。
今教えたようなことをやっていれば、そのような後悔を感ずることがなくな
る。
だから、私の教えの中で、孔子のいうように「日々に三度己の心を省みる」
なんてことは言わない。あんなことは時代遅れなことだ。
私の教えるようなことをやっていれば、後悔するようなことを言ったりやっ
たりしないから。
終りにもう一つ。残留本能の整理に非常にいい方法がある。方法というより
心がけ。
それは平素努めて「心の中で行う想像を積極的にするようにする。消極的に
しないようにする」
何か自分の人生の将来や
現在を考えるときに、暗い方面からのみ考えちゃいないかい?
もう体の弱い人がようやく60くらいになると「とても天風先生のように生
きられはしない」なんて。
特に夜の寝際に来るらしいな。そういう変な気持ちが。
何事に対しても、心の中に描く画像を薄暗いものにするのをやめる!
始終心の想像の花畑は百花繚乱たるものにしなければいけない。
それを習慣化し、のべつ心がけていると、何事に直面しても心が明るい方面か
らのみ見るようになり得るんだ。
だから、ひまなときはあるんだから、例え2分でも3分でも、静かに、気が
散らないように目をつむりながら、自分が楽しめるような、喜ぶような想像を
心の銀幕の中に描くということはすごく重要なんだ。
秘訣を教えて、その秘訣を実行しなきゃだめだよ。難しいことでもなんでも
ないんだもん。
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発行元:アクティブウェブ
編集:荒滝俊政
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